昨年から始まった「新型出生前診断」ですが、これは妊娠10週目から22週目まで可能な血液検査で、胎児の染色体や遺伝子を調べる検査です。
費用は自費診療となり20万円前後で、2013年4月から始まって、一年間で約8000人が診断を受けたそうです。
高齢出産(35歳以上)が対象で、その年齢層も増えてきていますので、その分出産リスクも出てきます。
そのリスクを予め知り、どうするか?などを決める材料にするために受ける検査の位置づけだと思います。
以前は「羊水検査」が主流でしたが、母体への流産などのリスクが大きく軽減される新型出生前診断はマスコミなどでも大きく取り上げられました。
ただ新型出生前診断はあくまでも「臨床研究」といことで始まったのですね。
しかし、「研究」とされ100%の精度ではないにも関わらず、診断を受けて陽性と判断された9割の人が中絶を選んだそうです。
陽性と判断されたらほとんどの人が中絶を選んでしまうことから、公益財団法人日本ダウン症協会もマスコミから一般検査と同等の精度であるかのような報道に懸念しています。
ダウン症への懸念
まず、一番心配するのは、「ダウン症」だと思います。
ダウン症とは
精子と卵子のが作られるときに染色体の分裂異常でおこる病気で、細胞の21番の染色体が1本多い、「トリソミー」という病気です。
染色体は本来、2本の染色体が対となっているものです。
2本の染色体うち1本欠けたものを「モノソミー」、3本になっているものが「トリソミー」で、これをダウン症と言い、1000人に1人の確率でダウン症患者が生まれています。
一番の原因は母親の出産するときの年齢だと言われています。
発症率は平均1000人に一人でですが、
20歳以下:1667人に一人
30歳以上:952人に一人
35歳:378人に一人
40歳以上:106人に一人
45歳:30人に一人。
という確率でダウン症患者が生まれています。
先天異常の新生児は、100人に3~5人ぐらいの頻度で、染色体異常症は新生児の約0.6%確認されると言われています。
生まれてきた赤ちゃんの染色体異常症のうち、ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーが占める割合は2/3程度であると言われています。
要するに新型出生前診断を受けて「異常なし」という結果イコール「健康な赤ちゃんが生まれてくる」ということではないことを理解しておかなければなりません。
ダウン症の検査は別にあり、費用が20万円ぐらいかかります。
また、医師から検査を勧めるのは倫理規定で禁止されていますので、自分から「検査を希望する」旨を伝えなければなりません。
治療方法は?
残念ながら現代医学では、ダウン症の治療方法は見つかっていません。
日本での認知度は低いですが、1989年にアメリカの医学誌で、「妊娠初期の女性が葉酸を推定量を取るとダウン症発生のリスクが抑えられる」というデータが発表されました。
葉酸はビタミンの一種で細胞を作るのを助ける働きがあり、妊娠3ヶ月前から妊娠後3ヶ月まで葉酸を取ることが重要だということです。
ダウン症の赤ちゃんが生まれたら
私が思いますに、それは両親の愛で包んであげるしかないと思います。
健康な子供より何かが特別劣っているわけではありません。
筋肉の発達や知的発達が普通の子供より少し遅いだけぐらいに考えて、「これはこの子の個性(性格、体質)なんだ」と受け入れることです。
最近では医療や療育、教育などが進みほとんどの人が普通に学校生活や社会生活がおくれています。
基本的には私達と変わりはありませんから、多少の支援は必要かもしれませんが、家族の愛情をもってすれば元気に育ってくれると私は信じています。
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