最近、私の周りでも取引先の方がかかったりとよく耳にするようになった「敗血症」について分かりやすく説明したいと思います。
敗血症とは?
敗血症とは、病原体によって引き起こされた全身性炎症反応症候群(全身性の急性炎症反応による症候。致命的な多臓器不全状態の前段階・SIRS)のことを言います。
分かりやすくいうと、血の中にバイ菌がいる状態で、そのバイ菌が血液の成分や構造を壊していろんな臓器を病気にしてしまう、重篤な全身症状を引き起こす症候群です。
傷口からバイ菌が入る菌血症とは、区別されています。
肺炎や腹膜炎などの重症細菌感染症がすすんだ場合や悪性腫瘍、肝疾患、腎疾患、血液疾患、糖尿病、こうげん病などの疾患がある場合、あるいは未熟児、お年寄り、妊婦、手術後まもない人が感染症をおこすと敗血症を起こしやすいです。
また、感染に対する防御能(免疫力)が低下している人も起こしやすいので注意が必要です。
原因となる細菌はいろいろありますが、多いのは大腸菌、レンサ球菌、ブドウ球菌、クレブシェラ、肺炎菌、緑膿菌(りょくのうきん)などです。
症状は?
敗血症の定義
①体温の変動:38度以上、ないし36度以下
②脈拍数の増加:90回/分以上
③呼吸数の増加:呼吸数増加(20回/分以上)またはPaCO2が32 Torr以下
④白血球数:12,000/μl以上、ないし4,000/μl 以下。あるいは未熟顆粒球が10%以上
4項目のうち2項目以上該当すれば敗血症と診断される
症状は、高熱が出て脈が速くなり、寒け、発汗、戦慄(ふるえ)などが最も主要な兆候です。
重症の場合には、逆に低体温になることもあり心拍数や呼吸数の増加、血圧降下、無尿、意識障害を起こしてショック状態となる敗血症性ショックをおこして、数時間で死亡する場合もあります。
敗血症性ショック症状になると25%は死亡するというデータもあります。
血液の凝固機能のバランスが崩れてしまい、血小板が異常消費し、全身の細小血管内で血栓が多発して出血しやすくなったりします。
それから多臓器不全を引き起こし、最悪死に至る場合もあります。
治療法は?
敗血症によって起こっている症状に対する原因菌を突き止め、薬剤感受性を調べて、適切な抗生物質や化学療法薬の対症療法になります。
細菌が原因であれば抗菌薬、ウイルスならば抗ウイルス薬になります。
真菌の場合は抗真菌薬、寄生虫であれば抗寄生虫薬などになります。
血液成分補充、酸素投与なども行います。
呼吸不全・肝不全・腎不全に対しては人工呼吸管理、血液濾過透析や血しょう交換などを必要とするケースもあります。
各臓器に合併症が起きないように厳重な治療と管理を必要とし、十分な入院治療を受けることが重要です。
予防法は?
これは一般的ですが、病原体に感染しないようにすることですね。
感染症を防ぐには、普段から規則正しい生活を心がけ、バランスのよい食事と摂り、十分な睡眠と外から帰ってきたら手洗い、うがいキチンとすることです。
また、怪我をして、簡単な化膿でも、できるだけ早く治すようにしましょう。
敗血症は伝染る病気ではありませんので、人から人へ感染する危険はありません。
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